MOSHIMO ZUKAN // FILE 03

☀️ もしも太陽との距離が1.5倍だったら

火星の席に座った地球。海は凍る? まずは席替えしてみよう。

テラちゃん今日も平常運転だよ〜
日射量(地球=100%)
100%
平均気温
約15℃
海のようす
液体
☀️太陽から地球まで、どのくらい離れている?
地球から見える
太陽の大きさ
1.0倍
太陽との距離
1.00 倍(いまとおなじ)= 1.00 AU(天文単位)
👇スライダーをうごかして、じっけんしてみよう
0.1倍(近い)1倍(いま)5倍(遠い)
🔎 今の距離(1AU)は、水が液体で存在できる"ハビタブルゾーン"のほぼ中心だよ
🎬 テラちゃんげきじょう「太陽との距離が1.5倍だったら」
ソラ
ソラ太陽から1.5倍はなれたら、ちょっと涼しくなるくらい?
テラちゃん
テラちゃんそれがね、届く日ざしは半分以下の44%。海はこおって、真っ白な星になっちゃう
ソラ
ソラ半分でそんなに!? 1.5倍って場所、どこかにあるの?
テラちゃん
テラちゃんあるよ。ちょうど火星の席。地球を火星の位置に置いた感じなんだ
ソラ
ソラ近すぎても遠すぎてもダメ…地球の席、よく取れたなあ。いい席すぎない?
この「ちょうどいい席」をハビタブルゾーンといいます。宇宙人さがしの合言葉です。

1.5倍にすると、何が起きる?

① 届く日光が44%になる

光は距離の2乗で薄まります(逆2乗則)。距離が1.5倍なら、受け取る日射エネルギーは 1÷1.5² ≒ 44%。太陽のまわりの軌道を、たとえるなら教室の「席」だと考えてみてください——太陽に近い前の席ほど日ざしが強く、後ろの席ほど弱い。実際にほぼその席(1.52AU)に座っているのが火星で、届く太陽エネルギーは地球の4割ちょっとしかありません。

② 平均気温はマイナス30℃前後に

このサイトのモデルで計算すると、地球の大気をそのまま持って1.5AUに引っ越した場合の平均気温は約−32℃。「あれ、火星は−63℃じゃなかった?」と思った人は鋭い。火星が地球より大幅に寒いのは、距離のせいだけでなく大気が地球の1%未満しかなく、温室効果がほとんど働かないからです(温室効果の上乗せは数℃程度とされます)。つまり同じ席でも、地球の大気を保てるなら30℃ぶんくらいは大気の保温(温室効果)で稼げるのです。

③ 海は凍っていく — 地球は一度経験済み

平均−32℃の世界では、海は極から凍り始めます。氷は白く日光をよく反射するので、凍るほどさらに寒くなる悪循環(アイスアルベド・フィードバック)が働き、最終的には赤道近くまで氷に覆われるかもしれません。実はこれ、SFではありません。地球は約7億2000万〜6億3500万年前(クライオジェニアン紀)に「スターチアン氷期」「マリノアン氷期」という、赤道まで凍りついたとされる全球凍結(スノーボールアース)をすでに経験しています。

④ それでも生命は生き延びる。帰り道もある

全球凍結の時代も、生命は氷の下の海などで生き延びたと考えられています。そして脱出ルートも実例があります。氷に覆われても火山は二酸化炭素を吐き出し続け、CO₂が大気にたまって温室効果が強まると、氷は一気に溶けたと考えられているのです。統合シミュレーターで「距離1.5AU+大気を4〜5倍」にしてみてください。気温が15℃前後まで戻るのを、このサイトのモデルでも確認できます。距離のハンデは、大気しだいで取り返せるのです。

💡 豆知識:ハビタブルゾーンは「大気しだい」で伸び縮みする
水が液体でいられる距離の範囲(ハビタブルゾーン)は、狭い見積もりでは太陽から約0.97〜1.4AU。ところがCO₂の温室効果などまで考えた広い見積もりでは、外側の境界は約1.67AUまで広がるとする研究もあります。つまり1.5AUは「大気しだいでギリギリ住めるかもしれない席」。ハビタブルゾーンが距離だけでなく大気とセットで決まることの、いちばんわかりやすい例です。
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