体重も2倍、山は半分、宇宙はずっと遠くなる。ずんぐりした世界へようこそ。
体重60kgの人は、感覚的には120kgを支えて生きることになります。立つ・歩く・階段を上る、すべてが筋トレ。心臓は血液を「2倍重い体」の上まで押し上げねばならず、骨も血管も設計変更が必要です。進化の時間があれば、生き物は低く、脚が太く、ずんぐりした姿に寄っていくと考えられます。キリンのような「高さで勝負」する動物は、かなり苦しい戦略になります。
山の高さには限界があります。高くなりすぎると、自分の重さで根元の岩が耐えられなくなるからです。この限界はざっくり重力に反比例します。上の「山の高さの上限目安」を見てください──重力を火星並みの0.38Gにすると2万mを超えるはず。実際、重力が地球の約1/3の火星には、高さ約22km(エベレストの約2.5倍)のオリンポス山がそびえています。火星に巨大な山ができたのは、重力が小さいことに加えてプレート運動がなく同じ場所で噴火が続いたため、と考えられています。
地球から宇宙へ出るには秒速11.2kmが必要ですが、同じ大きさのまま重力2倍の地球では約1.4倍の秒速16km級が必要になります。ロケットの燃料は雪だるま式に増えるので、人工衛星もGPSも気象観測も月面着陸も、実現は桁違いに難しくなったはず。テラちゃんのモデルになった観測衛星たちも、空に上がれなかったかもしれません。
重力は大気を地球につなぎとめる力でもあります。強い重力は大気を逃がさないので、温室効果の毛布は安泰。逆にスライダーを0.3G以下にしてみてください──長い年月で大気が宇宙へ逃げ、火星のように寒く薄い空気の惑星に近づいていくのが、人口予測の数字にも表れます。