温室効果が暴走した「地球の姉妹星」の実例つき。毛布は厚すぎても危ない。
地球のすぐ内側を回る金星は、大きさも質量も地球そっくりの「姉妹星」。ところが大気の約96%が二酸化炭素で、猛烈な温室効果により地表は約460℃に保たれています。鉛(融点327℃)が溶ける温度です。このサイトのモデルで大気を90倍にすると約480℃──ざっくりした概算式でも、実際の金星(約460℃)にかなり近い数字が出るのを確かめてみてください(太陽との距離や重力まで含めて再現する統合シミュレーターの金星プリセットでは、さらに実測に近づきます)。
金星の地表気圧は約92気圧。これは地球の海の水深920mに相当する圧力です。金星に降りた探査機の多くは、地表に着く前に押し潰されるか、着いても1時間ほどしか通信できませんでした。深海探査艇なみの装甲がないと立っていられない世界です。
おもしろいのはここから。金星も高度50〜55kmあたりまで上がると、気圧も気温も地球の地上に近くなります。太陽系で「もっとも地球に似た環境」は、実は金星の雲の上なのです。ここに浮遊都市を浮かべて住もうという構想が、大まじめに提案されています。
スライダーを左に振ってみてください。大気が薄いと温室効果の毛布がなくなり、気温はどんどん下がります。大気が地球の1%未満しかない火星の平均気温は約−63℃。「もしも太陽との距離が1.5倍だったら」で見たとおり、惑星の運命は「太陽からの距離×大気の厚さ」のかけ算で決まるのです。