MOSHIMO ZUKAN // FILE 08

🥚 もしも公転軌道がもっと楕円だったら

地球の軌道は、実はほぼ真円。それをタマゴ型にのばすと、季節の「もう一つの作り方」が現れる。

テラちゃん今日も平常運転だよ〜
近日点↔遠日点の日射差
約7%
近⇔遠 気温差(概算)
約5℃
軌道のかたち
ほぼ真円
軌道の離心率(いまの地球=0.017)
0.017
0(真円)0.017(いま)0.8(彗星並み)
🔎 地球の軌道は離心率0.017の、ほとんど真円。だから距離による季節差は小さいよ

軌道をタマゴ型にのばすと、何が起きる?

① そもそも地球の軌道は「ほぼ真円」

「地球は楕円軌道を回っている」とよく言われますが、その楕円の潰れ具合(離心率)はわずか0.017。絵に描くとほとんど真円で、太陽の位置が中心からほんの少しズレているだけです。だから太陽との距離は年間で3%ほどしか変わらず、受け取る日射の差も約7%にとどまります。いまの四季は、この距離の差ではなく、地軸の傾きがほぼ全部つくっています。証拠に、地球が太陽にいちばん近づくのは1月上旬——北半球が真冬のときです。

② のばすほど、「距離でつくる季節」が強くなる

スライダーで離心率を上げると、近日点(いちばん近い)と遠日点(いちばん遠い)の距離差が開きます。近いときは日射が増えて暑く、遠いときは減って寒い——傾きとは別に、惑星全体が同時に暑くなったり寒くなったりする季節が生まれます。火星の離心率は0.093と地球の約5.5倍で、このため火星の南半球の夏は北半球より暑いなど、距離由来の季節差がはっきり出ています。

③ 氷期のリズムは、この「のび縮み」に隠れている

地球の離心率は一定ではありません。木星や土星の重力に引かれて、約10万年周期でゆっくり「のびたり真円に戻ったり」を繰り返しています。地軸の傾き(約4万年周期)や首振り運動(約2万年周期)と合わさって高緯度に届く日射を変動させ、氷期と間氷期のリズムをつくる——これがミランコビッチ・サイクルです。海底の地層に残る過去の気温変動には、たしかにこれらの周期が刻まれています。あなたが動かしたスライダーは、100万年ぶんの気候のダイヤルでもあるのです。

④ 極端にのばすと、季節が凶暴になる

離心率を彗星並み(0.8前後)まで上げると、近日点では灼熱、遠日点では極寒という、往復びんたのような1年になります。生命にとっては相当に過酷ですが、それでも「距離が変わるだけ」なら、公転の途中に穏やかな季節も挟まります。傾きすぎの記事で見た「半年ずっと昼/半年ずっと夜」とはまた違う、もう一つの厳しさの作り方です。地球が住みやすいのは、傾きも軌道も「ほどほど」だからなのです。

💡 豆知識:「10万年問題」という未解決の謎
過去100万年の氷期は約10万年周期で訪れていて、これは離心率の変動周期とぴったり一致します。ところが不思議なことに、離心率が日射量そのものに与える影響は、傾きや歳差に比べてずっと小さい(数%程度)。「効き目が弱いはずの10万年周期が、なぜ氷期のリズムを支配しているのか?」——これは10万年問題と呼ばれ、今も完全には解けていない現役の謎です。ほぼ真円のこの軌道に、まだ宿題が残っているのです。
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