地震も火山も消える、静かな星。でもそのとき、地球の「気温の自動調整」も一緒に止まってしまう。
地球の表面は十数枚の硬い板(プレート)に分かれていて、その下のやわらかい層に乗って年に数cmずつ動いています。これがプレートテクトニクス。地震や火山、山脈は、このプレートがぶつかったりすれ違ったりする境目で起きています。実はこの「板が動く」仕組みが確認されているのは、今のところ太陽系で地球だけ。火星はプレートが動かなかったため火山が一か所に噴き続け、標高27kmの太陽系最大の火山オリンポス山ができました。
スライダーでプレートの動きをゼロにすると、地震や噴火はやがて起きなくなります。災害がなくなって一見平和——でも、それは物語の半分でしかありません。プレートの動きは、地球にとってもっと大切な、別の仕事もしているのです。
地球には、長い時間をかけて気温を一定に保つ天然のサーモスタット(自動温度調整)が備わっています。しくみはこうです。火山はCO₂(温室効果ガス)を大気に吐き出す。一方、雨は岩石を少しずつ溶かし(風化)、その過程で大気のCO₂を吸い取って海底に閉じ込める。気温が上がると風化が速まってCO₂が減り、冷える。気温が下がると風化が鈍ってCO₂がたまり、暖まる——という自動調整です。この火山と風化の両方を回しているのが、プレートの動き。止めれば火山がCO₂を補給しなくなり、長い目で見た気候の安定装置が止まってしまうのです。
プレートの動きは、山脈をつくって陸に起伏を生み、海と陸の配置を長い時間かけて描きかえてきました。栄養を含む岩石を地表に押し上げ、超大陸パンゲアをつくっては引き裂き、生き物の進化の舞台を用意し続けています。地震という「こわい顔」の裏で、プレートテクトニクスは地球を住める星に保つ立役者。地球の「ちょうどよさ」は、足もとの動く大地にも支えられているのです。