すべての大陸がひとつに集まった世界。内陸は海から遠ざかり、酷暑と乾燥の「メガモンスーン」が吹き荒れる。
雨や穏やかな気候は、海からの水分と、海の大きな熱容量がもたらします。だから大陸が今のようにバラバラに散らばっていると、どの土地もどこかの海から比較的近く、その恵みを受けられます。ところが大陸をひとつに集めると、中心部は四方の海から数千km離れた「究極の内陸」になります。そこには海からの水分も、海の穏やかさも届きません。スライダーで大陸を集めていくと、内陸の気候が牙をむきはじめます。
今から約3〜2億年前、地球の大陸は本当にひとつに集まっていました。超大陸パンゲアです。そのまわりを超海洋パンサラッサが取り囲んでいました。研究者の気候シミュレーションによると、パンゲアの内部では夏と冬で風向きが大きく入れ替わる巨大な季節風「メガモンスーン」が吹き、夏は酷暑、冬は極端な乾燥という、振れ幅のはげしい気候だったと考えられています。大陸のまん中には、生き物が暮らしにくい広大な乾燥地帯が広がっていたのです。
この記事のいちばん大事なところは、これです。同じ地球でも、大陸の置き方が変わるだけで気候はまるごと変わる。以前の「陸と海の割合」の記事では海と陸の"比率"を見ましたが、今回効いてくるのは"配置"です。陸地の総量は同じでも、散らばっているか一か所に固まっているかで、雨の降り方も気温の振れ幅もまったく違う世界になる。地球の住みやすさは、大陸がほどよく分かれている今の配置にも支えられているのです。
パンゲアは遠い過去の話ではありません。大陸はプレートの動きに乗って、今も年に数cmずつ移動し続けています。研究者たちは、はるか未来——約2億5000万年後——に大陸が再び集まって新しい超大陸(パンゲア・ウルティマなどと呼ばれます)ができると予測しています。ある研究では、その超大陸は火山活動の活発化と強い日射により酷暑の星となり、哺乳類には非常に厳しい環境になるかもしれない、とされています。地図はゆっくりと、しかし確実に描き変わり続けているのです。