夜はもっと明るく、潮の満ち引きは複雑に。でも、ふたつの月は互いを引っぱり合い、軌道はいつか乱れるかもしれない。
いちばんわかりやすい変化は、夜の明るさです。月はそれ自身が光っているのではなく、太陽の光を反射して輝いています。だから月がふたつあれば、反射する光も増えて、夜空はより明るくなります。ふたつの満月が同時に空にのぼる夜は、今よりずっと明るく、星は少し見えにくくなるかもしれません。スライダーで2つ目の月を大きくすると、夜の明るさが増していきます。
潮の満ち引きは月の引力が生んでいます。月がふたつになると、それぞれの月が海を引っぱるので、潮は2つの月の引力の"合わせ技"で決まる、複雑なリズムになります。ふたつの月が空の同じ方向に並べば潮は大きく、反対方向に離れれば打ち消し合って小さくなる。今のような規則正しい満ち引きではなく、日によって大きく変わる潮になるでしょう。海辺の生き物にとっては、なかなか予測のむずかしい世界です。
ここが月ふたつのいちばん難しいところです。ふたつの月は地球を回るだけでなく、月どうしも引力で引っぱり合います。この影響が積み重なると、軌道が少しずつ乱れて、いつか片方が地球に落ちてきたり、宇宙へはじき飛ばされたりする可能性があります。スライダーで2つ目の月を大きくするほど、「軌道の安定」が下がっていくのはこのためです。ただし、木星のガリレオ衛星のように、うまくリズムが噛み合う(共鳴する)と、複数の月が安定して回り続けられる場合もあります。バランスは、とても繊細なのです。
今の地球には、ほどよい大きさの月がひとつだけあります。この1個の月が、地球の地軸を安定させ、規則正しい潮を生み、夜をほのかに照らしてくれています。月がふたつあったら、もっとにぎやかで美しい夜空になったかもしれませんが、そのぶん潮も軌道も複雑で不安定になったはず。「ひとつだけ」というのも、実は地球の落ち着いた環境を支える、ひそかな"ちょうどよさ"なのかもしれません。