片側は永遠の昼で灼熱、反対側は永遠の夜で極寒。でもその境目の「永遠の夕暮れ」に、生命の居場所があるかもしれない。
地球が自転をやめ、太陽に同じ面を向けたまま止まったら——太陽の側はいつまでも昼で、日ざしが照りつづける永遠の昼。灼熱の世界です。反対側はいつまでも夜で、太陽の光がまったく届かない永遠の夜。凍りつく極寒の世界になります。ひとつの惑星に、灼熱の地獄と極寒の地獄が背中合わせに広がる。スライダーでロックを進めると、昼の面と夜の面がこの両極端に分かれていきます。
「片面を向けたまま」なんて起こるの?と思うかもしれませんが、実は身近な月がまさにこの状態です。月は自転周期と公転周期がほぼ同じ約27.3日なので、地球にいつも同じ面(表)を向けていて、私たちは月の裏側を地上から見ることができません。これが潮汐ロック(自転と公転の同期)です。主星に近い天体ほど起こりやすく、赤色矮星のそばを回る惑星の多くも、この状態だと考えられています。
昼は灼熱、夜は極寒——では生命はまったく住めないのでしょうか。ここに、近年の研究が面白い答えを出しました。昼の面と夜の面のちょうど境目には、太陽がいつも地平線近くに見える「永遠の夕暮れ(ターミネーターゾーン)」という細い帯があります。この帯では、灼熱と極寒がほどよく混ざり合い、水が液体でいられるちょうどよい気温が保たれる可能性があるのです。惑星全体が住めなくても、この夕暮れのリングにだけ生命の居場所がある——そんな世界も考えられています。
この記事の裏返しの教訓は、こうです。地球が灼熱にも極寒にも偏らず、どこでも生き物が暮らせるのは、自転して昼と夜を規則正しく配っているから。太陽の熱を全身にまんべんなく浴び、夜のあいだに冷ます。あたりまえの「1日」のくり返しが、実は地球の表面をまるごと居住可能にしている立役者なのです。月のおかげで自転が安定していることも、あわせて思い出してみてください。