宇宙で一番ありふれた星、赤色矮星。その光で地球を照らすと、住める場所が主星のすぐ隣まで寄ってくる。
赤色矮星は、太陽よりずっと軽くて暗い、赤っぽい光の星です。地味な存在ですが、実は宇宙にある恒星の7割以上がこのタイプ。太陽のほうが少数派なんです。太陽にいちばん近い恒星プロキシマ・ケンタウリ(約4.2光年)も赤色矮星で、そのまわりには地球サイズの惑星プロキシマbが見つかっています。系外惑星さがしの主役は、今やこの暗い星たちです。
星が暗いと、暖かさが届く範囲(ハビタブルゾーン=水が液体でいられる帯)も主星のすぐ近くになります。スライダーで主星を軽く暗くしていくと、住める距離がぐんぐん主星へ寄っていくのがわかります。たとえば赤色矮星トラピスト1の惑星dは、主星からわずか約333万km——太陽と水星の距離の18分の1しかない超至近距離を回っています。それでいて凍りも沸きもしない「ちょうどいい」位置なのです。
主星に近すぎると、惑星は主星の強い重力で潮汐ロックされます。月がいつも同じ顔を地球に向けているのと同じで、惑星がいつも同じ面を主星に向けたまま回るようになる。すると片面は永遠の昼で灼熱、反対の面は永遠の夜で極寒——昼と夜の境目だけが薄明かりの帯になる、いわゆる「まぶたの惑星(eyeball planet)」です。ただし絶望的とは限りません。近年の気候モデルでは、昼側に厚い雲ができて熱を反射し、両面の温度差がかなり和らぐ可能性も示されています。
赤色矮星のもう一つのクセは、気まぐれに強力なフレア(爆発的な増光)を起こすこと。プロキシマ・ケンタウリでは2019年、わずか7秒で紫外線が普段の約1万4000倍になる巨大フレアが観測されました。これが惑星の大気を吹き飛ばしかねないのが弱点です。一方で最大の長所は寿命。太陽の残り寿命が約50億年なのに対し、赤色矮星は何千億年〜何兆年も燃え続けます。生命がゆっくり進化する時間だけは、たっぷりあるのです。