全球凍結ほどではない、でも確実に繰り返してきた寒暖のリズム。マンモスが歩き、海が下がって大陸がつながった時代。
「氷河期」と聞くと地球全体が凍りつく全球凍結を思い浮かべるかもしれませんが、ここで扱うのはもっとおだやかな、しかし何度も繰り返してきた氷期です。今の地球は、氷期と氷期の間の暖かい間氷期にあたります。過去100万年ほどの地球は、寒い氷期と暖かい間氷期を、およそ10万年の周期でくり返してきました。スライダーを進めると、地球はこの氷期のピークへ近づいていきます。
氷期をもたらすのは、地球の外ではなく、地球自身の動きのわずかな変化です。地球の公転軌道のかたち、地軸の傾き、そして地軸が独楽のように首を振る歳差——この3つが、それぞれ約10万年・約4万年・約2.6万年の周期でゆっくり変化しています。これらが重なって、地球の高緯度が夏に受ける日ざしが増えたり減ったりする。この日射のリズムが、氷期と間氷期のスイッチを押しているのです。これを、発見した人の名からミランコビッチ・サイクルと呼びます。
氷期には、海の水が蒸発して雪となり、陸の上に巨大な氷の板(氷床)として積もります。そのぶん海の水が減るので、海面が下がります。約2万年前の最も寒かった時期(最終氷期極大期)には、世界の平均気温が今より約6℃低く、海面は今より約125mも低かったと考えられています。すると浅い海が陸になり、今は海で隔てられた土地が地続きに。人類やマンモスなどの動物が、大陸から大陸へ歩いて渡れた時代があったのです。スライダーを進めると、海面が下がって陸が広がるのが見えます。
大事なのは、氷期は遠い過去の異変ではなく、地球が今も繰り返している自然なリズムの一部だということ。私たちがたまたま暮らしているのは、そのリズムの中の暖かい間氷期です。約1万年前に最後の氷期が終わって温暖な時代になり、そのおかげで農耕がはじまり、今の文明が育ちました。人類の歴史は、氷が退いた"暖かい幕間"に花開いたのです。地球の気候は、長い目で見れば、いつもゆっくりと揺れ動いています。