MOSHIMO ZUKAN // FILE 19

⛄ もしも地球がまるごと凍ったら

赤道まで氷に覆われた「白い地球」。これは空想ではなく、実際に何度か起きたとされる出来事だ。

テラちゃん今日も平常運転だよ〜
地球の白さ(反射率)
ふつう
気温の向かう先
安定
氷におおわれた範囲
高緯度だけ
地球をおおう氷の割合
10%(いまの地球)
👇スライダーをうごかして、じっけんしてみよう
0%100%(全球凍結)
🔎 白い氷は太陽光をはね返すよ。氷が増えるほど寒くなり、その寒さがまた氷を増やす——これが暴走のもとだよ
🎬 テラちゃんげきじょう「地球がまるごと凍ったら」
ソラ
ソラ地球ぜんぶがこおるなんて、SFの話でしょ?
テラちゃん
テラちゃんそれが本当にあったんだ。7億年前、赤道までカチカチの『全球凍結』
ソラ
ソラええっ、どうやってそこから復活したの!?
テラちゃん
テラちゃん火山だよ。ふき出したガスが少しずつ空をあたためて、氷をとかしてくれたんだ
ソラ
ソラ凍らせたのも自然、とかしたのも自然…地球、何度もピンチを乗りこえてきたんだね。
全球凍結のあと、複雑な生き物が一気に増えたという説も。ピンチはチャンスかもしれません。

地球の氷を増やしていくと、何が起きる?

① 白は、太陽光をはね返す

雪や氷が白いのには、気候にとって大きな意味があります。白い面は太陽の光をよくはね返す(反射率=アルベドが高い)ので、そこに届いたエネルギーは地面を温めずに宇宙へ逃げていきます。氷が増えるほど地球は太陽の熱を受け取れなくなり、さらに冷える。冷えればまた氷が増える——。この「寒さが寒さを呼ぶ」暴走を、アイス・アルベド・フィードバックと呼びます。スライダーで氷を増やしていくと、あるところから気温が坂道を転がるように下がりはじめるのは、このためです。

② 暴走が止まらないと「白い地球」になる

いったん氷が地球のある範囲を超えて広がると、フィードバックが止まらなくなり、氷は赤道へ向かってなだれ込みます。行き着く先が、赤道の海まで凍りつく全球凍結(スノーボールアース)です。証拠はアフリカ南部ナミビアなどの地層に残されており、当時の赤道付近だった場所にまで氷河が作った跡が見つかっています。もっとも新しい大規模な全球凍結は約7億年前(スターチアン氷河時代)で、地球はおよそ5000万年以上ものあいだ凍りついていたと考える研究もあります。

③ どうやって抜け出したのか——火山という非常口

いったん凍ったら、なぜ今の地球は青いのでしょう。鍵は火山でした。全球凍結の間も、海底や陸上の火山はCO₂を吐き出し続けます。ところが地表が氷に閉ざされていると、ふだんCO₂を吸収する岩石の風化がほとんど働きません。行き場を失ったCO₂は大気にたまり続け、数百万年かけて強烈な温室効果を作り出します。やがてそれが限界を超えると、今度は一気に氷が解けはじめる。解ければ黒い地表が顔を出し、太陽光を吸ってさらに温まる——同じフィードバックが、今度は逆回転で猛烈な温暖化を引き起こしたのです。

④ 凍結が、生命を進化させたのかもしれない

全球凍結は生命にとって大災害だったはずですが、興味深いことに、この時代のあとに生物は大きく多様化しています。原生代末の全球凍結を抜けた先に、多細胞生物が花開くエディアカラ紀・カンブリア紀が続くのです。極限まで追い詰められた環境が、かえって生命の進化を加速させたのではないか——そう考える研究者もいます。凍りつくことすら、地球の物語の一章だったのかもしれません。

💡 豆知識:このサイトの伏線が、ここで回収される
全球凍結は、これまでの記事のしくみが総動員される舞台です。氷アルベドによる暴走、プレートと火山によるCO₂の供給、温室効果による脱出、そして大気のはたらき。地球の気候は、いくつものしくみが押し合いへし合いする、ひとつの巨大なシーソーなのです。なお、このシミュレーターは暴走のイメージをつかむための簡略モデルで、実際の全球凍結の開始・終了には、まだ研究者が議論を続けている謎が多く残っています。
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