温室効果を失った地球は、平均−18℃。実は今の+15℃との差「33℃」こそ、このサイトの計算式の心臓部だ。
太陽であたたまった地球は、その熱を赤外線として宇宙へ逃がしています。もし大気に温室効果がまったくなければ、入ってくる太陽の熱と出ていく熱がつり合う温度は約−18℃。今の地球の平均気温は約+15℃ですから、その差はおよそ33℃。この33℃ぶんの暖かさは、大気中のわずかな温室効果ガス——水蒸気や二酸化炭素——が、逃げようとする赤外線をつかまえて地表に投げ返しているおかげです。温室効果は、たとえるなら地球をくるむ見えない毛布のような存在です(この記事では以後「毛布」と呼びます)。スライダーを0にすると、地球はたちまち凍った星になります。
もしも地球ラボの全シミュレーターは、ある1本の式で気温を出しています。ざっくり書くと「気温 = 太陽からの熱 + 33℃ × 大気の効き − 273」。この33という数字の正体が、まさに温室効果の毛布のぶんなのです。距離を変えても大気を変えても重力を変えても、裏ではいつもこの33℃が効いている。つまりこの記事は、他の全記事の「タネ明かし」でもあります。金星が462℃の灼熱になるのも、この毛布の項が暴走した結果です。
ニュースでは温室効果ガスが悪者のように語られますが、それは誤解を生みやすい言い方です。温室効果そのものは、地球を生き物が住める星にしている大恩人。もしゼロだったら、海は凍りつき、私たちは存在できませんでした。問題なのは「効きすぎ」です。スライダーを右に振って温室効果を強めると、地球はどんどん暑くなり、やがて金星のような暴走温室状態に近づきます。大事なのは、多すぎず少なすぎず——ここでも地球は「ちょうどよさ」の上に立っています。
温室効果への貢献をみると、いちばん大きいのは意外にも水蒸気で約6割、二酸化炭素が約3割、残りがその他です。ただし水蒸気は、気温が上がると空気が多く含めるようになって増える、いわば「結果」の側。だからこそ、人間が出すCO₂で少し気温が上がると、水蒸気がさらに増えて温室効果が強まる——この連鎖が、毛布のさじ加減を狂わせかねないのです。地球の毛布は、絶妙なバランスの上でだけ「ちょうどいい」のです。