MOSHIMO ZUKAN // FILE 29

💨 もしも地球に風が吹かなかったら

貿易風も偏西風も、地球の自転が生んでいる。もし風が熱を運ばなければ、赤道と極の温度差は倍にふくらむ。

テラちゃん今日も平常運転だよ〜
地球規模の風
よく吹く
熱の運ばれ方
よく混ざる
赤道と極の温度差
約40℃
💨風は熱を運んでいる(帯の流れる速さ=風の強さ)
風の強さ(いまの地球=1倍)
1.0 倍
👇スライダーをうごかして、じっけんしてみよう
0倍(無風)1倍(いま)2.5倍
🔎 風は熱を運ぶ宅配便。赤道の熱を極へ、極の冷気を赤道へ運んで、地球の温度をならしているんだ
🎬 テラちゃんげきじょう「風が吹かなかったら」
ソラ
ソラ風がふかなかったら、しずかで気持ちよさそう!
テラちゃん
テラちゃんところが風は、あつさ寒さを運ぶ配達員なんだ。止まると赤道と北極の温度差が2倍に広がる
ソラ
ソラ2倍!? 風ってそんな大仕事してたの?
テラちゃん
テラちゃんそう。しかも風がふくのは、地球が回ってるおかげなんだよ
ソラ
ソラ風は熱の配達員で、生みの親は自転…今日ふいてる風、ちょっと見る目が変わったよ。
台風がうずを巻くのも自転のしわざ(コリオリの力)。毎日の天気は、宇宙とつながっています。

地球の風を止めると、何が起きる?

① そもそも、風は自転から生まれている

地球規模で吹く風——赤道近くの貿易風や、日本の上空を吹く偏西風——は、ただの空気の移動ではありません。太陽に暖められた赤道の空気が上昇し、極へ向かって流れる大きな循環(ハドレー循環など)に、地球の自転が生むコリオリの力が加わって、東西に曲げられることで生まれます。つまり地球の風の骨格は、自転が描いているのです。だから自転の記事とも深くつながっています。

② 風は、熱を運ぶ「宅配便」

この風たちには、とても大事な仕事があります。熱を運ぶことです。赤道はいつも太陽に強く照らされて暑く、極は寒い。もし何もしなければ、その差はどんどん開いていきます。ところが風が、赤道のあり余る熱を極へ、極の冷気を赤道へと運び、地球全体の温度をならしているのです。海流も、実はこの風に押されて生まれます。風は、地球の熱をならす巨大な宅配便なのです。

③ 風が止まると、赤道と極の差が倍になる

では風が熱を運ばなくなったら? スライダーで風を弱めると、「赤道と極の温度差」が広がっていきます。研究者の見積もりでは、今の赤道と極の温度差は約40℃ですが、大気による熱の輸送がなければ、その差は約80℃にも開くと考えられています。赤道はもっと灼熱に、極はもっと極寒に。地球の気候は、今よりずっと極端で住みにくいものになってしまうのです。

④ 風は、気候をならす名脇役

ふだん風は、天気を気にするときくらいしか意識されません。でもその正体は、自転が生み、熱をならし、海流を動かし、雨を運ぶ——地球の気候を支える名脇役です。が熱をたくわえてゆっくり気候をならすのに対し、風は熱をすばやく運んでならす。ゆっくりの海と、すばやい風。この二つのチームプレーが、地球をおだやかな星に保っているのです。

💡 豆知識:「貿易風」の名前の由来
貿易風という名前は、風で進む帆船の時代に、この安定した風がインド洋などの交易(貿易)に使われたことに由来します。決まった向きに安定して吹く風は、エンジンのない船にとって頼れる道でした。地球の自転が生んだ風の道が、人類の交易の歴史を運んでいた——空の上の物理と、海の上の歴史が、一本の風でつながっているのです。
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