噴火が増えると、地球はまず寒くなる。でも長い目で見ると、今度は暖まる。火山は冷房と暖房、両方のスイッチを持っている。
火山が大噴火すると、噴煙は空の高いところ(成層圏)まで届き、細かいちり(硫酸のエアロゾル)が地球全体に広がります。このちりが太陽の光をさえぎる日傘のように働いて、地表に届く日ざしを減らし、地球を冷やすのです。これは「火山の冬」と呼ばれます。スライダーで噴火を増やすと、まず「数年後の気温」が下がっていくのはこのためです。
これは理論だけの話ではありません。1991年、フィリピンのピナトゥボ山が20世紀最大級の大噴火を起こしました。噴き上げられたちりは約3週間で地球をぐるりと取り巻き、その影響で1992〜93年の世界の平均気温は約0.4〜0.5℃低下しました。日本でも1993年は記録的な冷夏となり、米が不作になって外国から輸入する事態になりました(「平成の米騒動」)。たった一度の噴火が、地球全体の気温と食卓を動かしたのです。
ここが火山の面白いところです。ちりは数年で地上に落ちてしまいますが、火山が同時に吐き出すCO₂(二酸化炭素)は大気に長くとどまります。CO₂は温室効果を持つので、噴火が続けば続くほど、今度はじわじわと地球を暖める方向に効いてきます。つまり火山は、短期的には日傘で冷やし、長期的にはCO₂で暖める——冷房と暖房、両方のスイッチを持っているのです。スライダーの「数年後」と「数百年後」で気温が逆向きに動くのを見比べてみてください。
噴火は災害ですが、火山は地球の歴史でずっと大切な役割も果たしてきました。全球凍結から地球を救い出したのも火山のCO₂でしたし、火山ガスは大昔の大気や海の水のもとにもなりました。プレートの動きが生む火山は、地球という星が"生きている"証拠でもあります。噴火の火は、こわいけれど、地球のエネルギーそのものなのです。