1年=365日は、地球が選んだわけではない。太陽との距離が、自動的に決めている——それがケプラーの法則だ。
「1年はなぜ365日なのか」——答えは、地球が太陽から1億5000万km(1AU)の距離にいるからです。惑星が太陽を1周する時間(公転周期)は、太陽からの距離だけでほぼ自動的に決まります。これを見つけたのが17世紀のケプラーで、「公転周期の2乗は、距離の3乗に比例する」というケプラーの第3法則として知られています。スライダーで距離を変えると、1年の長さが法則どおりに伸び縮みします。距離1.0で365日になるのは、偶然ではなく必然なのです。
距離が延びると1年が長くなる理由は2つあります。ひとつは単純に、1周の道のりが長くなるから。もうひとつは、太陽の重力が弱まるぶん、惑星の進む速さそのものが遅くなるから。道は長いのに歩みは遅い——この二重の効果で、距離2倍なら1年は2倍ではなく約2.8倍(2の1.5乗)になります。実際の太陽系でも、水星(距離0.39倍)の1年は約88日、火星(1.52倍)は約687日、そして海王星(約30倍)の1年は約165年。海王星は1846年の発見から、まだ太陽をようやく1周したばかりです。
1年が延びて何が変わるかといえば、いちばん身近なのは季節の長さです。四季は地軸の傾きが作るので、1年が687日ある火星では、ひとつの季節がざっと半年近く続きます。春が半年、冬も半年。もし地球の1年が海王星なみに165年だったら、ひとつの季節は約40年——人の一生で、四季をひとめぐり体験できるかどうか、という世界です。「季節がめぐる速さ」は、実は太陽との距離が決めていたのです。
ここで思い出してほしいのが距離の記事です。1年の長さを変えようとして距離を動かせば、届く日射も同時に変わります。1年を2倍にする距離(約1.6倍)では、地球はもうハビタブルゾーンの外縁ぎりぎり。つまり「365日というちょうどいい1年」と「ちょうどいい気温」は、同じ1つの距離が同時にくれたプレゼントなのです。1年の長さは、地球の住みやすさとワンセットで決まっていました。